フォーカル・ジストニアの治療法

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ジストニアって治るの?

 

はい。治ります。諦めないで下さい。

実際、スペインには専門の治療院があり、何人もの人がすでに完全回復しておられるそうです。

(「どうして弾けなくなるの?: < 音楽家のジストニア>の正しい知識のために」より)

 

 

わたしは専門医にかかりませんでしたが、フェルデンクライス・メソッドを応用したリハビリで完全に回復できました!

 

 

ほんとうにジストニア?

 

まずは正しい自己分析から。

とりあえず「なんかおかしいぞ?」と思ったら以下の項目をチェックして下さい。

 

フォーカル・ジストニアの診断指針

1.身体のある部位にジストニア(身体のある部分が、自分の意思とは関係なく勝手に動いてしまう疾患)が起こる。

2.一定の作業姿勢を持続する必要がある業務や、身体の一部を反復して使用する業務に携わっている。

3.業務とジストニアの部位に関連性があり、通常は特定の業務以外の動作には支障がない。

4.脳出血などの外的要因がない。

 

以上の4項目に当てはまるとフォーカルジストニアの可能性が高いです。
(Focal dystonia:焦点のジストニア、つまり局部的なジストニアって意味です。)

もちろん100%の自己診断なんてあり得ないので、病院へ行ってみるのも一つの手です。

ただこういう神経疾患の場合、病名を知る事にあまり意味がないのと、確立された治療法がないので、医学、特に西洋医学では限界があるのではないかと個人的には考えています…。(あくまでジストニアの場合ですが。)

 

 

どうやって治療するの?

 

さて治療法ですが・・・

 

1.顕著な症状が起きる作業から一定期間、完全に離れる。

私の場合は、ギターでした。1年強、全く楽器に触りませんでした。

ギタリストとして活動していたので精神的には辛いものがありましたが、病気を完全に治したいのであれば、病気の原因となった活動を完全にやめる事です。

 

2.ジストニアが起こる他の作業を探る。

日常生活で、他の作業をしている時、ジストニアが(軽くでも)起こる動きはないか探してください。

私の場合、最初は日常生活では全く問題ないと思っていましたが、左手の人差し指と中指を机の上でトントン交互に下ろす動作が著しく困難なのに気付きました。

ギターを弾こうとすると問答無用で全く動かないですし、どうしたら動くかも分かりませんでしたが、単純に机の上で人差し指と中指を上下させるだけなら、ゆっくり力を抜けば「気持ちのいい、本来の動き」が出来るように感じました。

これは重要なポイントです。

可能か不可能かのギリギリな、しかし可能な作業を見つけて下さい。

 

3.その作業を、リラックスして、ゆっくり完全な動きで何度も再現する。

以前の記事でも書きましたが、脳科学にボディマッピングという概念があり、脳には体の動作に関してそれぞれの部位に対応した範囲があります。(手なら手、足なら足を司る脳神経の回路)

人差し指が動かないというのは、人差し指に「動きなさい」と命令する脳の範囲、神経回路が何らかの理由で混乱しているわけです。

この混乱を治療するには、もう一度、脳に「どの神経回路がどの動きに対応しているか」を学ばせてやらなくてはなりません。

私の場合、人差し指と中指を交互にゆっくり動かす事で、何かくすぐったいような気持ちの良いような感覚が得られました。

根気よく続けてください。必ずスムーズに動くようになってくる筈です!

この工程でフェルデンクライスメソッドの体験はとても役に立ちました。

 

4.「2」と「3」を繰り返す。

フェルデンクライスの言葉ですが、メソッドを通じて「不可能を可能に、可能な事をより楽に、楽に出来ることをより美しく」出来るようになるようです。

自身の体験からですが、神経の構築のプロセスはまさにこの通りです。

「可能な事が楽に出来るようになった時点」で反復する作業にバリエーションを加えていきます。

私の場合、単純に交互ささせるのに加えて親指を机につけました。

すると、少し親指を押さえるだけで途端に人差し指と中指の上下運動が困難になりました。

ですから、最初は親指が机に触れるだけ、それが出来たら少し押さえてみて、やってみました。

 

5.病気の原因となった動作が「可能」になった時点で、その作業を再開する。

根気がいりますが、このリハビリの繰り返しでどんどん出来る動作を増やしていくと、その内、病気の原因となった動作も「困難を感じるが、ゆっくり力を抜くと動く」状態になります。

この時に焦らないこと!

これも「2」と「3」でやったように、リラックスして、ゆっくり完全な動きでやります。

私はこの作業が難しかったです。

分かってはいても、ギターが弾けると思うと興奮して、ついつい感じずに、考えずに弾いてしまいました。

ちょっと無理したり疲れたりすると、とたんに前の神経回路を使った、前の動かし方に戻ってしまいます。

新しい神経回路を作り上げているので、壊れてしまった回路は忘れなくてはなりません。

でも脳は以前の「壊れた、動かないやり方」に馴染みがあるので、その方法についつい頼ろうとします。

この流れを断ち切らなければ、完全な回復は望み得ませんど。

 

6.「新しい神経」が「古い神経」より強くなったら、どんどんやりましょう。

表現が、ちと正確な定義の面で危ないですが、分かりやすいかなと思って書きました。

リハビリが進んでくると、動作をする際の「以前の感覚」と「新しい感覚」の違いがはっきりしてきます。

最終目標は「以前の感覚」が完全になくなって、咄嗟の時にも「新しい感覚」が出ることです。

演奏家として、演奏する時にに意識する事はごまんとあります。

なんで、無意識でも「新しい感覚」で弾けないと、実際の演奏では役にたちません。

ある程度、無意識で出来るようになれば、ガンガン弾いてリハビリしていきました。

その際、「2」「3」「4」で培った感覚が本当に役に立ちます。

 

 

わたしの思うこと

 

私がフォーカルジストニアにかかった時は、ギタリストとしてキャリアを始めた矢先だったのもあり、人生が真っ暗に見えました。

色々な方が良かれと思って多くの助言を下さったし、それには本当に感謝していますが、やはり苦しんでる本人にしか理解できない事はあります。

また、私の場合は精神的な部分による原因もあると思っていますが、単純に環境的、遺伝的な要素で、なり易い人とそうでない人がいるそうです。

(特定の環境下におけば、マウスですらジストニアにかかるそうです。)

 

病気を完治させるには、冷静な分析と決断力、んでもって、周りの人の愛情と理解が必要です。

特に私の場合、家族と友人の支え、そして私を愛してくださる神の恵みがなければ、どうにもなりませんでした。

私の経験が、ジストニアで苦しんでる人、特に音楽家の方でジストニアにかかってしまった人へのヒントになればとっても嬉しいです~!

 

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