クラシック音楽って眠くなる!?

 

クラシックって眠くなる?

 
「好きな音楽は?」って日本で聞かれる場合、ほとんどは「クラシック音楽」なんて答えとして想定していません!

わたしも最初は「実はバッハが…」なんて答えてましたが、最近は人を選んで答えるようになってしまいました・・・。

日本のほとんどの人はクラシック音楽の存在を知ってはいて、良いもんだろうとは認めていても、自分とは遠いものに感じています。

なぜでしょう??

・・・答えは「聴いてて眠くなる」からです!!

 



 

なぜ眠くなるの?

 
クラシックが浸透しない理由は「敷居が高い」やら「お上品な感じ」「単純に触れる機会がない」などと考えられますし、それもそうなんでしょうけど、一番の理由は「眠気」です。

では、なぜ眠いんでしょう?

実はわたしも中学生までクラシックを聴いてもあまりピンときませんでした。

流行りの歌謡曲の方がよっぽどわかりやすく、耳に心地よいので、主にJPOPを聴いていた時もあります。

あの頃の自分の気持ちに立ち返ってみると答えが見えます。

クラシックを聴いても「わからない」んです。

 

いかに良いと言われている文学作品でも、外国語で朗読されたら・・・、

どんなにすぐれた感動する内容のスピーチでも、手話で延々と伝えられたら・・・、

どんな素晴らしい野球の試合でも、ルールを全く知らなければ、つまらないでしょうし、眠くなります。

同じようにクラシック音楽も、そこには厳然とした様式、ルール(和声、対位法、オーケストレーション、テーマの展開、音やリズムのエネルギーなど)があり、それを感じられなければ、如何に良いものであると言われても実感がわきません。

もしも様式、ルールが全くないのであれば、ただの空気中の振動(周波数)です。雨音や風の音、セミの鳴き声とそう変わりありません。

一日中、セミの鳴き声を聴いてられる人もいるでしょうが、普通は眠くなります。

とにかく、眠くなるのは、「意味のあるものとして感じられない=わからない」からってことです。

 

 

練習してると眠くなる?

 

趣味嗜好はひとそれぞれですし、別に各々が好きな音楽を聴けばいいのですから、クラシックをつまらなく感じる方を振り向かせるのはちょっとおいておきましょう。

しかし、クラシックが好きで、何か楽器を弾いている人でも、練習を重ねていくうちにつまらなくなる、眠くなるなんてことはありませんか?

わたしはそうでした!

好きな曲以外は、練習するほどつまらなくなる。

特に楽器を始めた最初のうちは、練習途中に眠くなって、途中放棄なんてことがたくさんありました。

決して特別な現象ではありません!

 

 

音楽を意味深いものにするためには?

 

そんなに高尚な話じゃないです。とりあえず、どうしても眠くなるって人は練習してる時こんなことに気を付けてみましょう。

みんなが涙を流して感動する演奏への道のりも、まずは自分が眠くならないように演奏することからです!

 

1.メロディーだけでなく、伴奏も聴く!もしかするとメロディーがたくさんある?

メロディーしか聴いてないなんてことありませんか?

試しに伴奏を歌ってみましょう。どんな風に伴奏を弾いたらメロディーが一番はえるでしょうか?

もしメロディーが複数あるなら、全部のメロディーを歌いながら弾いてみましょう。どのメロディーもお互いに邪魔しないように・・・。

するとあら不思議!急に眠たくなくなります!

 

2.ほとんどの曲にはテーマがある!

ベートーヴェンの交響曲第五番「運命」

「じゃじゃじゃじゃーん!」・・・って有名ですよね!

では試しに、あのパターンの音型が何回曲中に出てくるか数えながら聴いてみましょう。

え?じゃじゃじゃじゃーんしか聴こえてこない?

そうです!曲にはテーマがあって、同形の音をそのまま用いたり、ちょっと変えて用いたりします。そうすると全体に統一感が出るんですね!

あなたが練習している曲にもきっと「テーマ」があります。(なかったらごめんなさい…)

テーマがどんな風に使われてるか気をつけながら練習してみてください。

するとあら不思議!急に眠たくなくなります!

 

3.曲には構成がある!

実は音をただただ書き連ねただけの曲ってほとんどないんです。

有名なのにソナタ形式ってのがありますね!聞いたことないですか?

最初に主題が二つ出てきて、転調があって・・・(提示部)

出てきた主題が色々形をかえて出てきて、色んな所に転調します。対位法的なパッセージなんかも出てきたりして・・・(展開部)

んでまた最初の主題が繰り返されます。(再現部)

かと思いきや、曲の終わりに向かって一気に加速して、バーンと華やかに終わる・・・時もあります。(コーダ)

こんな感じで、曲の構成がちゃんと決まってるんですね。

 

「好きです!付き合ってください!(提示部)

最初に一目見た時から・・・云々、いつもあなたの事が頭から離れな・・・云々。(展開部)

だから本当に好きです!付き合って欲しいんです!(再現部)

なぜって、きっとこれは運命だから~。」(コーダ)

 

これ、ソナタ形式です。ちょっと強引ですが。

 

一回目の好きですと二回目の好きですは、やっぱり口調が変わりますよね?

最後のなぜってのくだりには一番力を込めるでしょう?

ソナタ形式の曲を演奏する時も全く同じ表現をします。

曲の構成が見えてくると、何をすればいいか、今自分が弾いてる部分がどんな意味をもつかはっきりわかるようになります。

するとあら不思議!急に眠たくなくなります!

 

4.曲にはリズムがある!

グレゴリア聖歌などのむかーしの曲ならいざ知らず、クラシック音楽にはリズム、つまり「拍」があります。

二拍子、三拍子、四拍子、色々ありますが、大体共通して大事なのは一拍目に入る前

つまり、ワルツなら「1、2、さん~・・・!」の「さん!」です。(二拍子なら二拍目、四拍子なら四拍目です。)

これがノビノビになって、一拍目へのつながりが感じられないと、途端にねむーい演奏になります。

「拍感」がない演奏ですね。オルゴールの演奏を思い浮かべるとわかりやすいかも知れません。

ですから反対に、主拍へのつながりがよく感じられるように弾いてやりましょう。

するとあら不思議!急に眠たくなくなります!

 

5.音程にはエネルギーがある!

音は空気中の波ですが、その頻度が変われば音程が変わり、その大きさが変われば音量が変わります。

しかし、「人間が知覚する音程」には周波数の頻度(Frequency)に加えて、エネルギー、もしくはテンションの要素があります。

そんな訳でピアノやギターなどのもともと音程が定まってる楽器なんかだとよくあることですが、何もしないで弾いてると、音程は完璧だけど音程のエネルギーとしては全く音痴って現象に陥ります。

 

ギターで一番高い弦の音って、ピアノで弾けば鍵盤のほとんど真ん中に位置するんです。つまり中低音。

もしも音程の高さが周波数のみで決まるなら、ギターは高い音を表現することが全く不可能になってしまいます。

でもギターでもちゃんと、「本当に高ーい音程のフレーズだよ!」って表現できます。

これは文章では説明不可能なので、これ以上書けませんが、歌や弦楽器ではほとんど当たり前になされてることです。

この音程のエネルギーが無視されていると、ほんとうに眠くなります。

これは実際に上手い人に目の前で弾いてもらって教えてもらいましょう。

するとあら不思議!急に眠たくなくなります!

 

 

クラシックを聴いても眠くならない?

 

そんな人を増やすには、まず弾き手が自分の演奏に眠くなってちゃいけません!

眠くならない練習、演奏のための5つのポイントを書いてみましたが、如何だったでしょうか?

音楽に正解はないので、いろんな意見がありますが、ひとつの参考になれば嬉しいです。

クラシック音楽を聴く人が「クラシックを聴くと眠れなくなる!」なんて悩んでくれる日が来ることを願いつつ・・・