「基礎練習って何をしたらいいの?」 ~クラシックギター独学講座~

基礎練習って何をしたらいいの?

ギターを弾くことが大好きで、真面目な人ほど、基礎練習に打ち込みます。

そこには「基礎を大事にする」ことへの信頼とか、「きちんと練習したい」という想いがある筈です。

わたしはそうでしたし、実際かなりの時間を基礎の練習に費やしてきました。

その体験を踏まえて、今回は「ギター弾きの基礎練について」です!!



基礎練習についてよくある誤解!?

基礎や基本の練習はとても大切ですが、いくつか誤解しやすい点があります。

1.基礎練習に決まった型はない!?


スケールやアルペジオの練習が基礎練習だと思い込みがちですが、そもそも何が「基礎」になるかはその人によって違います。

すでに何曲もレパートリーがあるようなギタリストにとっては、簡単なスケールやアルペジオが基礎練習になるでしょうが、初心者にとっては単音を弾くことさえ難しい作業です。

基礎とは、今あるものを成り立たせるより所なのですから、人によってはまず座り方の練習とか、指を一本ずつ動かす練習から始める必要があるかも知れません。

基礎練習に決まった型はありません。今持っている技術を支えている一つ一つの要素が、基礎です。

2.基礎練習を繰り返すだけでは上手くならない!?


最初の内は、同じ動作を繰り返すことで慣れていき、どんどん上手になります。

しかし、ある一定のピークがあり、その後はそれ以上いくら繰り返しても上手くなりません。

たとえば、あなたは歯磨きを毎日されていると思います。それは小さい頃からの習慣的な訓練で、ある意味英才教育です。

しかし、10年前に比べて歯磨きの技術は向上しているでしょうか?

向上していない、むしろ定期検診の度に歯科衛生士の人に怒られるという人がほとんどだと思います。

もしも向上していると言える人は、この10年間に歯磨きの仕方について何らかの意識改革があった筈です。

同じことがギターの基礎練習にも言えます。

実は、同じ動作をただ繰り返すだけでは上手くなりません。

基礎練習を効果的にするには、思考や感覚、目的意識(なぜそれをするのか?)が必要です。

3.基礎練習を大事にしても偉くない!?


「何でも基礎が大事」と言われると99%の人は、考えもせずに「うんうん」と頷くでしょう。

でも本当にそうでしょうか?そうだとしてもなぜでしょう?

わたしたちが立って、歩いて、走れるのは毎日一定の基礎練習をしたからでしょうか?

メジャーリーグの選手は、マイナーリーグの選手に比べて基礎練習が多いのでしょうか?

プロギタリストのテクニックを得るには、スケールやアルペジオを毎日何時間も弾いたらいいのでしょうか?

「きちんと練習する」ことに安心しようとするのはやめましょう。むしろ時間を浪費する危険があります。

基礎を大事にする精神は尊いわけではありません。上手くなれればなんでもいいわけです。

左手:スケールでの練習アイデア

それでは具体的な基礎練習の一例を紹介しましょう。

音楽的なアイデアを考えなくてすむメリットがあるので、左手の練習にはスケールを使ってみます。

\楽天ポイント5倍セール!/
楽天市場
\ポイント5%還元!/
Yahooショッピング

かの有名なA.セゴビアがスケールの運指をすでに考えてくれています。

1.指を一本ずつ押さえる。


左手の基本は、指一本ずつ!です。

和音を押さえる時はもちろん同時に複数の指で押さえる必要がありますが、単音の時は必ずその指だけに力をいれて、他の指(親指も含む)からは力を抜いてください。

まるで歩くようにステップを切り替えていくイメージです。

前に押さえた指から必ず力が抜けるように意識しましょう。

2.つかむのではなくかぶせるように。


左手がネックを握ってしまうと指が滑らかに動かなくなります。

左手親指は添えるだけで、特別な時以外は力を抜きましょう。

実際に親指から力を抜いて、指板側に出して、スケールを練習してみましょう。

「指をかぶせる」イメージがつかみやすくなります。まるでピアノを弾くかのようです。

もちろん下りのスケールや他の調のスケールでも同じように練習できます。

右手:単音での練習アイデア

1.弾く(ひく)だけでなく弾く(はじく)練習をする。


フェルデンクライス・メソッドから言うと、良いコントロールの為には主動筋だけでなく、拮抗筋も意識するとよいです。

参考記事:拮抗筋を使え!? ~モーシェの一言43~

そんなわけで、はじく練習を基礎練習に取り入れてみましょう。

特に親指は力を抜いて、念入りに練習すると他の指まで動きやすくなります。

2.手首から力を抜く。


手首はかためないようにしましょう。

弾きやすさのために一定の角度にしますが、どんな角度でも弾く練習をしておくと、手首の自由を感じながら演奏できるようになります。

基礎練習として、手首から脱力し、完全に曲げて弾いてみましょう。

余談ですがA.セゴビアも映像資料をみると、そのような感覚で弾いていた雰囲気があります。ぜひチェックしてみて下さい。

これさえやっておけば良い!・・・という基礎練習はない

紹介した基礎練習は、練習アイデアのほんの一例です。

何をすれば良いかは、その人のテクニック、センス、持って生まれたからだ、状況などによって、全く変わります。

要するに、その人にとって簡単なことに戻って練習することが基礎練習ですから、これさえやっておけば誰でも上手くなるというようなものはありません。

わたしは個人的に、才能に恵まれすぎて基礎練習が必要ないという人も何人も知っています。

反対に、ギターを弾く以前に、立ち方や歩き方、呼吸の仕方に戻って練習が必要な人もたくさんいます。

いずれにしても、効果的な練習をするためには、今の自分をよく理解することが大前提です。

そして、もし自分で自分を理解できているなら、どんな練習をしても効果的です!