安定を求めたら不安定!? ~モーシェの一言8~


モーシェの一言

 

Stability (when one is protected) increases the feeling of safety.

Instability means risk but easy mobility.

Both are biologically important.

Becoming addicted to one of them makes one unsafe for lack of choice.

Elusive Obvious – p39

 

安定なのは安心感を生みます。

不安定なのはあやうさと動きやすさを意味します。

生物学的にはどちらも大事です。

どちらか一方に偏ると、選ぶ自由がなくなるので危険です。

 



 

先生のちょこっと解説

 

人間の銅像をたてる時は、脚部に鉄の支柱を通して、土台にしっかりと固定しなければいけません。

そうでなければ風の強い日にはすぐに倒れてしまうでしょう。

しかし、もしもそれがワニの銅像だったらどうでしょう?

ライオンは?

キリンなんてどうでしょうか?

台風さえ来なければ、支柱がなくても大丈夫かも知れませんね。

 

人間はあらゆる動物の中でも重心が高く、重力に対して不安定なデザインにもともとなっています。

しかし、それはさまざまな方向への自由な動きやすさでもあります。

 

生物の機能から見ると、安定しているのは安全を意味しません。

例えば、試合中のボクサーを思い浮かべて下さい。

ボクサーが重力に対して最も不安定で、色んな方向へ素早く移動し続けている場合、ノックアウトされる危険は最も低く、反対に相手をノックアウトできる可能性があります。

しかし倒れてしまって、重力に対して完全に安定した状態は、ルールによって守られていなければ、最も命が危ない状態です。

もちろんこれはリングの中だけの法則ではありません。

 

そういうわけで、安定しようとして自分を固めるほど、人間本来の機能が失われていきます。

人間は動きの中で、安定するよう造られています。

また、自由に動けるからこそ自由に止まれるのです。

 

 

今回の引用著作

 

The Elusive Obvious

英語で書かれている原著です。モーシェ最後の著作で、1981年に出版されました。

 
 

 

フェルデンクライス・メソッド未体験の方へ

 

この「モーシェの一言」シリーズは、フェルデンクライス・メソッドをより深く理解するための覚え書きです。

毎週のグループレッスンで一つずつ書いていき、全部で50週分のシリーズになりました。

一般的ではない言葉の使い方や、常識外れのアイデアが多いので、実際にレッスンを体験しないと何を言っているのかわからないでしょう。

最初から全てわからなくても良いので、気を楽にしてモーシェ・フェルデンクライス博士の思考に触れていってみて下さい。
フェルデンクライス・メソッドについてはこちらの記事でも簡単に紹介しています。

 

またもし興味のある方は、ぜひ前後の文脈を、辞書を片手に原著で読んでみて下さい。

フェルデンクライス・メソッドに対する理解が深まり、その計り知れない価値に気付かれるでしょう。