クラギって特殊です
クラシックギター、略して「クラギ」
ギターと言えば、エレキギターかアコースティックギターですよね?(エレキとアコギ)
この二つは有名ですが、実はまだ100年に満たない歴史なんです。
じゃあ、クラギは歴史が長いのか??
これも諸説あり、ギターの原型は大昔までさかのぼれますが、現在の形が完成したのは19世紀にトーレスさんが出てきてから。

トーレスさんです。
つまり、一般にクラギって言う場合、このトーレスさんが200年前ぐらいに作った形のギターを言います。
さて、このクラギ。始めたいと思ってる人のために、知っておいた方がよい10のコトをまとめてみました!
1.ちょっと曲が特殊
クラシックって言うぐらいなんで、クラシックの作曲家が曲をたくさん残しているかと思いきや、モーツァルトもベートーヴェンもブラームスもチャイコフスキーも曲を残していません。
クラシックを聴かない人でも知ってるような有名な作曲家が曲を残していないことは、今のギタリスト達にとっても残念がられてます。
近現代に入って、ギターが注目され始めたので、1900年以降のレパートリーは豊富ですが、古典やロマン派、印象派などがあんまりない。
でもその代り、近代、現代の曲はとっても素敵なものがたくさんありますよ!
2.爪で弾く
クラギって右手の爪で弾くんですよ!
爪の形状をやすりで整えて、自分の理想の音をつくっていきます。
わたしはガラス製の爪やすりで形を作り、サンドペーパー(1200番~2000番がお勧めです!)でなめらかにしています。


また形が同じでも、爪の質によって音が全く変わってきます。ですから爪が強い人はギターを弾くうえでとっても有利です。
自分だけのオリジナルの爪を、オリジナルな形に削って、自分だけの音をつくるって楽しみもあります。(たとえば私のイタリアでの先生は、爪が富士山型でした!!)
爪の当て方によっても音が変わりますし、ギターは音色の変化をさせたら、どんな楽器にもまさって美しい楽器です!
3.安い
クラシックの楽器って、ストラディバリウスが何億円やらガルネリが云々って話を聞いたことがあると思いますが、ギターはそんなイメージに比べてとっても安いです。
初心者用だったら10万円の予算で十分でしょう。
プロが使ってるのだって100万から300万ぐらいです。
本当にぼろっちいのであれば(お勧めはしめせんが…)2、3万のものもあります。
ヴァイオリン、ピアノ、チェロ、ハープなどなどに比べると、とってもとっつきやすい面があります!
4.かっこいい?
ギターってかっこいいイメージがあります。「ギターさえ持てば俺は無敵だZE!!」なんつて。
でもあれは、エレキやアコギの世界。クラシックギターは、ほんとーに、特に初心者の内はダサいです!
上手くなればエレキギタリストもアコギタリストも真っ青なことが出来るようになりますが、三年ぐらいは人前で弾いて「キャー!」なんて言われることは我慢しましょう。
でも自分のためだけに弾いてても、惹き込まれて何時間でもポロポロ弾き続けられるような魅力があります。
5.先生に習う
最初のうちは特に先生につくことをお勧めします。200年の歴史があるだけ、色々研究されてきたものがあります。
自力でやれるって人は、「200年分の天才ギタリストたちの創意工夫」を必要ない!と言っちゃってるに等しいです。
もちろん趣味でやる分にはいいかも知れませんが、せっかくなんで他の人の助けを借りてみたらどうでしょうか?
最初につけた悪い癖は、あとで直そうとしても本当に苦労します…。
6.音が小さい?
ヴァイオリンやピアノに比べると、音は小さい楽器です。
でも音楽は音量の大きさではありません。
音量の対比が音楽の醍醐味でもあるので、クラシックギターを深く知っていくにつれて全く気にならなくなると思います。
どうしても広いホールや音が聞こえずらい環境でやる場合には、アンプで増幅するって手段があります。
今のアンプはほんとうに性能が良いですし、とてもよい音をつくれます。
もうギターは音が小さいと言って嘆く時代ではなくなりました。
7.一生弾ける?
一生弾けます!
昔でも70歳や80歳になっても弾いていた巨匠がいますし、現代は体に対する知識や知恵も進んできているので、おそらく死ぬまで楽しんで弾けるでしょう。
チェロやピアノ、金管楽器などとは違い、演奏することに対する構えがとても少なくてすみます。
居間にたてかけてあるギターをちょっと手に取って「ポロン♪」ってな具合に、演奏の手軽さ、身近さはギター特有のものではないでしょうか。
シューベルトもお金がなくてピアノが買えない時、ギターを弾いて作曲したと言われています。
「毎日、定期的に練習して・・・」なんて考えなくても、自分のペースでゆったり長く付き合っていける楽器だと思います。
8.楽譜が読めないとダメ?
TAB譜って手もありますが、楽譜が読めた方が良いです。
耳コピ(耳で聴いただけで曲を再現すること)でもいけないことはないですが、かなり難しいです。
心配しなくても、簡単なものから順々にやっていけばすぐに読めるようになります。
難しいのは、ギターの方でどの場所がどの音に対応してるか覚えることでしょう。
わたしも3年ぐらいは完璧に覚えられてなかったかもしれません。(これは努力不足な面も否めませんが…)
でもそれもちょっとずつやっていたら、必要な分はすぐに覚えられます。
9.耳でチューニング
チューナーを使ってチューニングすると、いつまでたっても自分で弦を合わせることができません。
多少、最初苦労しても耳で聞いて合わせた方がいいです。
ギターは和声感が大事なので、和音が調和して響いているかどうかを聞き分ける耳を持ってると演奏がさらに楽しくなります。
音叉で5弦を合わせたら、順々に1弦まで合わせていきましょう。

10.上手い下手気にしない
なにかに取りつかれたようにギターをガチャガチャ、爆速で弾く方もおられますが、きっと今から始めようと思ってる方はクラギのそんなところに惹かれたのではないでしょう。
自分のペースでギターの美しさを味わうことに集中すれば、クラギライフはとっても楽しくなります。
速く正確に弾く競争は、プロになるならまだしも、趣味でやる分にはほとんど意味ないものです。
上手い下手を気にしないで、弾きたい曲を楽しんで弾く。それこそ魅力ある音楽への最短距離です。
さいごに
クラギってちょっと特殊ですけど、他の楽器にはない、えも言われぬ魅力をもった楽器です。
ちょっと始めてみようかなと思ったら、経験者の人に相談して一緒に楽器店に行ってもらってください。
きっとギターが部屋に置いてあるってだけで、生活が素敵になるのでは…!?