モーシェの一言

寄生的な動きって!? ~モーシェの一言10~

 

モーシェの一言

 

It is very important to realize that incompetence does not mean lack of the essential action for achieving the end, but consists largely in enacting unnecessary, parasitic acts.

The Potent Self – p106
 

これは気付くべき大事なことです。

できないのは、目的を遂行する動きがないからではなく、不必要で寄生的な動きがあるからです。

 



 

先生のちょこっと解説

 

マリオカートというテレビゲームを知っておられるでしょうか?

マリオというキャラクターがゴーカートのような乗り物にのって、コースを走る速さを競うゲームです。

わたしは小さい頃にこのゲームで遊んでいて、急カーブを曲がろうとして曲がり切れない時、ついつい頭と体を横に傾けてしまった記憶があります。

指先でボタンをおすことでしか、画面の中のゴーカートはコントロールできないのですが、それでも考える前に身体が動いてしまうのです。

 

実はこれがモーシェの言う「寄生的な動き」です。

わたしは目的(画面中のゴーカートでカーブを曲がる)に対して、不必要な動きをしていました。

それは、それ以前の身体的体験によって学習した動きで、「指先でコントローラーを操作する動き」に寄生している動きと言えます。

そして、これはマリオカートで遊ぶ時のみならず、日常のどんな機能の動きをとっても、同じように起こり得る現象なのです。

 

動きの学習とは、この寄生的な動きを、必要な動きと区別して認識していくことに他なりません。

これをフェルデンクライス・メソッドの用語では「分化」と言います。

また分化された機能は、自然にうまく一緒に使えるようになります。

それを「統合」と言います。

「分化と統合」はフェルデンクライス・メソッドの核をなすアイデアです。

 

どの分野でも、名人と言われる人の動きは、単純で無駄のないものでしょう。

わたしたちも自分の動かし方について、名人になれます。

その際、習慣的で寄生的な動きが、どれほど体の問題をもたらしていたのかに気付き、きっと驚かれるでしょう。

さらに驚くべきことに、動きだけでなく、思考、感情、感覚といった人格全体に対しても、「分化と統合」の原理は適用できます。

 

 

今回の引用著作

 

The Potent Self

英語で書かれている原著です。モーシェの死後、1985年に出版されました。

 

 

 

フェルデンクライス・メソッド未体験の方へ

 

この「モーシェの一言」シリーズは、フェルデンクライス・メソッドをより深く理解するための覚え書きです。

毎週のグループレッスンで一つずつ書いていき、全部で50週分のシリーズになりました。

一般的ではない言葉の使い方や、常識外れのアイデアが多いので、実際にレッスンを体験しないと何を言っているのかわからないでしょう。

最初から全てわからなくても良いので、気を楽にしてモーシェ・フェルデンクライス博士の思考に触れていってみて下さい。

フェルデンクライス・メソッドについてはこちらの記事でも簡単に紹介しています。

 

またもし興味のある方は、ぜひ前後の文脈を、辞書を片手に原著で読んでみて下さい。

フェルデンクライス・メソッドに対する理解が深まり、その計り知れない価値に気付かれるでしょう。