モーシェの一言

理屈っぽいとダメ!? ~モーシェの一言11~

 

モーシェの一言

 

The New Sun: Obviously it comes from your experience and years of work with this.

 

Moshe Feldenkrais: No, it comes from the theory, first of all.

Many people work with bodies; why don’t they do the same thing?

Nobody does what I do.

Obviously it doesn’t come from working with people.

When you have a theory, then your experience teaches and qualifies your understanding and your future experience.

That’s how science works.

Embodied Wisdom – p204
 

雑誌編集者:明らかにそれはあなたの経験と長年の仕事の賜物ですよね。

 

モーシェ:いいえ、それは第一に理論のおかげです。

多くの人が人体を取り扱っています。

しかしなぜでしょう?私と同じことをする人はいません。

明らかに、経験だけのものではないのです。

もしあなたが理論を得ているなら、経験はあなたに教え、理解を深め、さらなる体験を与えるでしょう。

それが科学です。

 



 

先生のちょこっと解説

 

理屈っぽい人は嫌われます。

何事も直感や印象に頼る方が、楽で早いですし、大抵のことはそれで上手くいくので、識別力が必要な難しい話は普通好まれません。

ブルース・リーは「考えるな!感じろ!(Don’t think, feel!)」と言いましたが、それにうなずく人は多いのではないでしょうか。

 

しかし、少し冷静に物事を見てみましょう。

もしも人類が難しく考えてこなければ、あなたが今着ている服はなかったでしょうし、毎日の鮮度の高い食べ物もあり得なかったでしょう。

夏にはクーラーが、冬にはヒーターが、暗ければライトがスイッチ一つでつくのも、先人たちがあれこれ難しい勉強をしてくれたおかげです。

そんなわけで、わたしたちはだれ一人例外なく、理屈っぽい人たちの、理論の恩恵を受け取っています。

 

モーシェも、突然天から啓示を受けてそれぞれのレッスンを作ったのではありません。

一つ一つのレッスンに理論的背景があり、明確な理由があります。

それまでの科学的発見を踏まえて、仮説をたて、検証していった結果、フェルデンクライス・メソッドを体系付けたのです。

彼は「巨人の肩に乗った人」(先人の積み重ねた発見に基づいて何かを発見する人)でした。

 

ですから、フェルデンクライス・メソッドを教える人も学ぶ人も、基礎になっている科学理論を把握しましょう。

直感やスキルは二番目のものです。

理論的な背景がより明らかに理解されていく時、フェルデンクライス・メソッドは世界中で市民権を得るでしょう。

 

 

今回の引用著作

 

Embodied Wisdom

英語で書かれている原著です。モーシェの論文や記事などの文献をまとめたものです。2010年発行。

 

 

 

フェルデンクライス・メソッド未体験の方へ

 

この「モーシェの一言」シリーズは、フェルデンクライス・メソッドをより深く理解するための覚え書きです。

毎週のグループレッスンで一つずつ書いていき、全部で50週分のシリーズになりました。

一般的ではない言葉の使い方や、常識外れのアイデアが多いので、実際にレッスンを体験しないと何を言っているのかわからないでしょう。

最初から全てわからなくても良いので、気を楽にしてモーシェ・フェルデンクライス博士の思考に触れていってみて下さい。

フェルデンクライス・メソッドについてはこちらの記事でも簡単に紹介しています。

 

またもし興味のある方は、ぜひ前後の文脈を、辞書を片手に原著で読んでみて下さい。

フェルデンクライス・メソッドに対する理解が深まり、その計り知れない価値に気付かれるでしょう。