がんばらない!? ~モーシェの一言12~


 

モーシェの一言

 

They think willpower is the real way to achieve correct functioning, and consider that repeated attempts will ensure excellency.

In fact, exercising for the correct final state only produces familiarity and makes any errors habitual.

The Elusive Obvious – p32

 

彼らは、意志の力こそが正しい動きを達成させるもので、繰り返して練習すれば極められると考えています。

実際、正しい最終的な状態になろうとして繰り返すのは、慣れを生むだけでミスを習慣化させてしまいます。

 



 

先生のちょこっと解説

 

「努力は裏切らない」「石の上にも三年」などと聞かされてきた私たちにとっては、にわかには受け入れがたいモーシェの一言です。

一体、どういう意味なんでしょうか?

 

誤解があると良くないのですが、モーシェは「意志の力」や「繰り返し練習」を否定しているわけではありません。

事実、何事でも繰り返して練習すれば、熟練していくことは誰もが経験しています。

しかし、そうやって「がんばる」ことで到達できる範囲には限界があり、神経系の発達はもっと有機的であるとモーシェは言うのです。

 

フェルデンクライス・メソッドで言う「有機的な学び」の核となるアイデアは「分化と統合」「制約をかける」「意識の使い方」「近位と遠位の機能」「状況のヴァリエーション」「条件反射の抑制」「ストップ&リバースの動き」「サポート」などと色々あります。

そのどれもが「自由」というキーワードにつながっていきます。

 

「有機的な学び」の体験を何度も積み重ねていき、深めてくならば、ベートーヴェンも、バッハも、ピカソも、ミケランジェロも、トルストイも、ジョイスも、ウィトゲンシュタインも、アインシュタインも、ディラックも、ダンテも、決して「がんばって」はいなかったことに気付くでしょう。

そして、わたしたち自身にある途方もない可能性にも気付くでしょう。

 

 

今回の引用著作

 

The Elusive Obvious

英語で書かれている原著です。モーシェ最後の著作で、1981年に出版されました。

 
 

 

フェルデンクライス・メソッド未体験の方へ

 

この「モーシェの一言」シリーズは、フェルデンクライス・メソッドをより深く理解するための覚え書きです。

毎週のグループレッスンで一つずつ書いていき、全部で50週分のシリーズになりました。

一般的ではない言葉の使い方や、常識外れのアイデアが多いので、実際にレッスンを体験しないと何を言っているのかわからないかも知れません。

最初から全てわからなくても良いので、気を楽にしてモーシェ・フェルデンクライス博士の思考に触れていってみて下さい。

フェルデンクライス・メソッドについてはこちらの記事でも簡単に紹介しています。

 

またもし興味のある方は、ぜひ前後の文脈を、辞書を片手に原著で読んでみて下さい。

フェルデンクライス・メソッドに対する理解が深まり、その計り知れない価値に気付かれるでしょう。