モーシェの一言

分化とは!? ~モーシェの一言23~

 

モーシェの一言

 

The baby cannot play the violin.

One of the reasons is that the impulses are not differentiated sufficiently and the motor activity is not differentiated either.

The responses and the intentional acts are global, not graded. All the members, hands and legs, move together and cannot form any finely directed act.

Later, when the growth and the functioning gradually form a more specific passage for individual impulses in the synapses, more varieties of movement become possible.

The fingers can be moved separately from one another.

Different rates and intensities can be produced even in parts of the fingers.

This discrimination between similar but slightly different movements is the differentiation we mentioned.

The Elusive Obvious – p129
 

赤ん坊はバイオリンを弾けません。

神経信号が十分に分化されておらず、運動行動も分化されていないのが、一つの理由です。

反応や動きは全体的で、段階にわかれていません。

四肢は、手も足も同時に動き、意図した繊細な動きができません。

それから成長して、シナプスの特定の経路に個別の信号を通せるようになって、よりたくさんの種類の動きが可能になります。

指はおのおの分離して動きます。

指の各箇所、違った速度や強さで動かせるのです。

この「似ているがわずかに違う動きの識別」を分化と呼んでいます。

 



 

先生のちょこっと解説

 

フェルデンクライス・メソッドの分化とは、決して特殊なアイデアではありません。

どんな赤ちゃんの成長にも観察できる普遍的な現象です。

わたしたちはそれをレッスンで応用しているだけです。

 

レッスンでの分化は、人間に備わっている身体的機能を、習慣的なパターン以外の方法で、それぞれバラバラに使えるようになることを指します。

例えば目と首の機能をとってみましょう。

首をねじって右に向く時に、目も右に動かしてしまいがちですが、それをあえて逆にしてみます。

つまり右に頭を向けるけれど、同時に目は左に向けてみましょう。

・・・いかがでしょうか?

造作もなくできる方はそれほど多くありません。

脳の中で、目と首の機能が分化されていなければならないからです。

 

分化はフェルデンクライス・メソッドにおいて根幹をなすアイデアです。

人間は生きている時間が長くなれば長くなるほど、習慣的な動きに固まってしまいがちですが、分化を促すことができれば、あらゆる種類の動きにおいて成長し続けることができます。

 

 

今回の引用著作

 

The Elusive Obvious

英語で書かれている原著です。モーシェ最後の著作で、1981年に出版されました。

 

 

 

フェルデンクライス・メソッド未体験の方へ

 

この「モーシェの一言」シリーズは、フェルデンクライス・メソッドをより深く理解するための覚え書きです。

毎週のグループレッスンで一つずつ書いていき、全部で50週分のシリーズになりました。

一般的ではない言葉の使い方や、常識外れのアイデアが多いので、実際にレッスンを体験しないと何を言っているのかわからないかも知れません。

最初から全てわからなくても良いので、気を楽にしてモーシェ・フェルデンクライス博士の思考に触れていってみて下さい。

フェルデンクライス・メソッドについてはこちらの記事でも簡単に紹介しています。

 

またもし興味のある方は、ぜひ前後の文脈を、辞書を片手に原著で読んでみて下さい。

フェルデンクライス・メソッドに対する理解が深まり、その計り知れない価値に気付かれるでしょう。