モーシェの一言

それってほんとにしたいの!? ~モーシェの一言45~

 

モーシェの一言

 

A mature person in the same circumstances would remain completely cold and unruffled.

The immature person thinks at once that he ought to be sexually excited, and forces himself into a situation for which he has no sincere desire.

It is more surprising that he almost succeeds, in a fashion, than that his success is incomplete, laborious, and tasteless.

Body & Mature Behavior – p186
 

成熟した人は同じ状況(人工的、知性的にこしらえられた、性的興奮を強いる状況)においても、完全に冷静で落ち着いていることができます。

未成熟な人は、性的に興奮しなければならないと考え、心からは望んでいない欲望に自分を強制します。

それは不完全で、骨の折れる、味気ない満足ですが、どうにかこうにか上手くいってしまうのは驚くべきことです。

 



 

先生のちょこっと解説

 

現代の日本社会は、性に関してほとんど無秩序で、強制的であると言えるでしょう。

多くの人が中学生や高校生になれば、「つきあう」という実体のない言葉のもとに、性交渉に至ります。

それが「普通のこと」とされていて、クリスマスになれば彼氏や彼女がいない人は引け目を感じるほどです。

第二次性徴期がくれば、異性に対する興味が出てくるのは自然のことですが、それは揺り動かしたり、かきたてたりされるべきではありません。

 

また情報社会の極致を突き進む現代では、誰でも簡単に性的コンテンツにアクセスできます。

しかもその種類は非常に多岐にわたり、暴走した欲求にとことんまで合わせてくれます。

そのためポルノ依存症が深刻な社会問題になってきています。

 

依存症の脳はドーパミンが放出され過ぎて、歯止めがきかない状態です。

最初は行為そのものに反応して放出されますが、その内行為を期待する時にも放出され始めます。

行為そのものにはだんだん慣れていきますが、期待する際のドーパミンは弱まらないので、永遠に得られない満足を追いかけさせられることになります。

 

状況に強制されたり、周りに思い込まされたりすると、性機能は正常に発達できません。

また現実の異性を理解しようとせずに、仮想の、永遠に得られない満足を追いかけてしまうのは、未発達な機能があるからです。

性にまつわる社会の問題を解決するには、人間本来の機能をよく理解し、全く新しい視点からのアプローチが必要かも知れません。
 

 

今回の引用著作

 

Body & Mature Behavior

モーシェが自身のメソッドを初めて公表した本です。1949年に出版されました。内容がやや専門的です。

 

 

 

フェルデンクライス・メソッド未体験の方へ

 

この「モーシェの一言」シリーズは、フェルデンクライス・メソッドをより深く理解するための覚え書きです。

毎週のグループレッスンで一つずつ書いていき、全部で50週分のシリーズになりました。

一般的ではない言葉の使い方や、常識外れのアイデアが多いので、実際にレッスンを体験しないと何を言っているのかわからないでしょう。

最初から全てわからなくても良いので、気を楽にしてモーシェ・フェルデンクライス博士の思考に触れていってみて下さい。

フェルデンクライス・メソッドについてはこちらの記事でも簡単に紹介しています。

 

またもし興味のある方は、ぜひ前後の文脈を、辞書を片手に原著で読んでみて下さい。

フェルデンクライス・メソッドに対する理解が深まり、その計り知れない価値に気付かれるでしょう。