モーシェの一言

拮抗筋を使え!? ~モーシェの一言43~

 

モーシェの一言

 

Relaxation and strengthening of muscular groups must therefore not be attempted directly, but through their antagonists as in normal growth.

Body & Mature Behavior – p170
 

筋肉をほぐしたり、強めたりするには直接的な方法ではなく、拮抗筋を通じてなされるべきです。

赤ちゃんの成長がそうであるようにです。

 



 

先生のちょこっと解説

 

体のあらゆる動きは筋肉の働きです。

動きの際、主に働く筋肉を「主動筋」と言い、その反対の動きをする、引き伸ばされる筋肉を「拮抗筋」と言います。

この主動筋と拮抗筋のバランスを保つことで動きをコントロールできるのです。

今回の一言では、筋肉をほぐしたり強めたりするために、拮抗筋を使うべきとのことです。

一体どういうことでしょうか?

 

筋肉には「伸張反射」と呼ばれる反射があり、引き伸ばされた時にそれに対抗するように収縮します。

そして引き伸ばす力がなくなると、緊張はゆっくり呼吸に合わせて、完全に解けていきます。

これは実験室で筋線維だけを取り出して引き伸ばしても確認できる、筋肉そのものに備わった反射です。

脳を介さないので、伸張反射で収縮する筋肉は疲労しません。

 

そこから考えると、筋肉をリラックスさせるにも強めるにも、引き伸ばしてやると効果的なのがわかります。

つまり、拮抗筋を収縮させればよいのです。

実際に赤ちゃんの首がすわる原理もこれに基づいています。

赤ちゃんがお母さんを見ようと首の屈筋を働かせますが、その時同時に首の後ろの伸筋は引き伸ばされます。

引き伸ばされた伸筋は、伸張反射で収縮するので自然に鍛えられていき、その後だんだん頭を床に押し付けられるようになり、生後4~5ヶ月で頭を重力に対して起こせるようになるのです。

 

拮抗筋の原理を応用できる範囲はとても広いです。

どのような動きでも、質を高めたいならば「反対の動き」をゆっくり練習してみましょう。

 

 

今回の引用著作

 

Body & Mature Behavior

モーシェが自身のメソッドを初めて公表した本です。1949年に出版されました。内容がやや専門的です。

 

 

 

フェルデンクライス・メソッド未体験の方へ

 

この「モーシェの一言」シリーズは、フェルデンクライス・メソッドをより深く理解するための覚え書きです。

毎週のグループレッスンで一つずつ書いていき、全部で50週分のシリーズになりました。

一般的ではない言葉の使い方や、常識外れのアイデアが多いので、実際にレッスンを体験しないと何を言っているのかわからないでしょう。

最初から全てわからなくても良いので、気を楽にしてモーシェ・フェルデンクライス博士の思考に触れていってみて下さい。

フェルデンクライス・メソッドについてはこちらの記事でも簡単に紹介しています。

 

またもし興味のある方は、ぜひ前後の文脈を、辞書を片手に原著で読んでみて下さい。

フェルデンクライス・メソッドに対する理解が深まり、その計り知れない価値に気付かれるでしょう。